外車・車検 ドイツ車のケース

外車の車検というと、高額なイメージが先行するが、実際のところ、どうなのか、これまでの経験に基づき、具体的に掛かった費用を含め明示していこうと思う。

私が現在所有しているドイツ車は、VWフォルクスワーゲン トゥアレグ、2005年式、4.2リッター、V8(V型8気筒エンジン)、325hp(馬力)、エアサス仕様、サンルーフ付きである。2010年に5年落ちで、神奈川県のとあるVWディーラーから、1年保証に、さらに1年の延長保証を付帯して、合計2年保証で購入した。

待ちに待った納車日。契約を済ませて、車に乗り込む。ワクワク感が止まらない。キーを回し、エンジンがかかり、V8の甲高いエンジン音が耳に入る。しかし、異常に気がついた。納車早々、レッドの警告灯が3つも点灯しているではないか。さすがに唖然とし、傍らにいた担当セールスマンに、顔がひきつりながら、その状況を伝える。

セールスマン曰く、「こういうことも、時折あります」などと、常套句を展開し、その場限りの取り繕いとしか思えない説明が続く。ひととおり、弁解が終わると、信じられないような言葉を言い放った。「警告灯はついていますが、今日のところは、このままお乗りになって帰られますか?」との給う。さすがに、あきれて、「このまま帰れるわけがないでしょう。」とやんわり遮り、穏やかに、「店長呼んでくれる? 」と私は言った。

ガラス張りのショールームの納車スペースに車をそのまま置いて、話をするために、店内の商談スペースに戻り、セールスマンと店長を交え、3人で話を始めた。さすがの私も、怒りを隠しきれず、率直に、納車早々に警告灯がついた状況で車を引き取らせるとは何事かと詰め寄った。そこから、2時間近く、押し問答を繰り返すこととなった。

納車前には、多数にわたる点検項目の整備をすることになっていたにも拘らず、車両の不良を示す警告灯が1つではなく3つも点いたのだから、納車前の点検を実際に行ったかどうかについても疑義が生じるような状況。今になってみると、その場で契約を破棄して、その場を去るということでもよかったかもしれない。が、私としては、かなり気に入った車であったこと、初めてのドイツ車で、中古ではあったものの、320馬力を超えるハイパフォーマンスであり、気持ちが高揚していたこともあり、その車を購入することにした。

但し、あまりにもリスクが大きいと考えたので、その場で考え、既存の契約書、とそれに付帯する2年保証以外に、半年以内に重大な故障が発生した場合には、購入代金は返金し、車両を返却することを別途定めた契約書を作成をすることを購入条件とすること、店長に合意させた。

ドイツ車の故障で、万が一トランスミッションが故障し、修理が不可能な場合、パーツの交換と整備で100万円はかかる(実際に、VWパサートを購入して、半年以内にトランスミッションが故障し、修理代が支払えなかったため、車を廃車にしたケースを知っている)からだ。この辺りの年式の VW車によくあるケース。

その話し合いの後、購入した車は再整備のため、置いていき、代車の別のトゥアレグに乗って帰宅した。その後の納車のときに、警告灯がつかなかったことは言うまでもない。幸い、その後、トラブルもなく、2年目の車検を2012年に迎えた。

車検は、車の購入先であるフォルクスワーゲン・ディーラー。その2年前の購入時の走行距離は、2万5千キロで、当車検時には、3万5千キロだったので、1年に5千キロしか走っていないことになる。車検の総費用は、28万円。当初は32万円だったが、気を遣って、部品代を4万円割引いてくれた。

内訳としては、重量税4万、自賠責2万、工賃8万、部品代14万。金額の大きいところでは、バッテリーが5万、シェルフ(車内コンソール)3万、オートマチック・フルードと、そのフィルターで4万、ストレーナー1万、関連ガスケットで、1.5万、エンジンオイル2万といったところ。オートマ・フルードなどの交換は、冬季、低速走行(時速20キロ以下)するときにオートマの1速から2速への変速のときに、ギアが滑る感じだったので、整備することとなったため。今になって考えてみると、車検のタイミングではなく、それ以外の時期に保証を適用して、整備させるべきであったと考えている。

2回目の車検は、2014年で、その時点の走行距離は、4万7千キロ。2年で1万2千キロしか走行していない。少ないほうだろう。このときの車検では、アイドラプーリーが交換時期に差し掛かっていたので交換。それでも部品代と交換費用で合計1万円程度に収まった。総費用は、22万円。重量税4万、自賠責保険3万(値上がり)、工賃8万、部品代7万。このときは、ディーラーに出さず、都内の高級外車販売店系列の整備工場に依頼した。トゥアレグを持って行ったときには、フェラーリ、ベントレー、マセラティが整備を待って陳列されていた。かなり忙しい店だったので、作業が雑だった。事実、そこでの車検を終えたあと、自宅の車庫に車が駐車しているときに、突然、セキュリティー・アラームが鳴り出した。理由が不明だったが、この2年後の車検のとき、理由が判明。バッテリーのケーブルがターミナルから外れそうになっていたからだ。それに気がついたのは、2年後の3回目の車検に出した工場の整備士に指摘されてのこと。2年も気づかなかったのだ。事故を起こさず、良かったと思う。ターミナルの締め付けが甘かったと思われる。高速走行時に路面の衝撃でバッテリーが外れて、ハンドルが効かなくなったり、急減速で、後続車に追突されたら、最悪死亡事故になりかねない大変危険な状態であったわけだ。今考えてみても、恐ろしい。

忙しいショップ、いい加減なところに整備を頼むと命を落としかねない。気をつけた方が良い。当然のことながら、それから、そこのショップに一切頼むことはなくなった。

3回目の車検。2016年のときで、走行距離5万9千キロ。2年で約1万2千キロで、前回車検時と奇しくも同じ距離となった。総費用は、合計35万円。前回よりも13万円増加。主な理由は、前後左右全てのブレーキローターと、パッドを交換したため。当該ブレーキ関連パーツは、費用圧縮のため、OEM部品を採用した。気をつけなければならないのは、OEMメーカーの品質問題。OEMとは、この場合、フォルクスワーゲンの純正部品ではなく、純正部品の仕様に合わせてサードパーティーの車部品メーカーが製作したパーツのことだが、OEMメーカーには大きく分けると2種類あることに気をつけることが重要。まず、フォルクスワーゲンのように車のメーカーが正規のOEM部品として認可しているメーカーがつくったOEM部品。そして、もう1つは、車メーカーが正式に認可していないメーカーが生産したOEM部品。こちらの認可を受けていないパーツは、部品の耐久性や性能が劣るケースがあり、ブレーキのような保安部品(車を制動する(停める)ような安全に関わる部品)の場合、走行中に破損して、車が停止出来ないような状況を招く危険性もあるということ。それに対し、純正部品の中古部品はどうだろうか。何年か走行した後の車から取り外した部品であるため、ある程度磨耗していることは考えられるが、性能や耐久性においては、車メーカーに認可されていないOEM部品よりも優れていると言えるので、中古部品が大量に流通している欧米では、認可されていないOEM部品の新品よりも中古で値ごろ感のある価格の純正部品が好まれるケースが多い。

参考までに、私が購入したOEM部品のデータ(正式にVWが認可しているかは不明)を以下列挙する。ただし、私が購入したメーカーが必ずしも性能や耐久性を保証するものではないので、各自、自己責任において、購入の検討、判断をいただくよう、お願いする。

注文日時:2016年10月16日 21時46分

商品名:Febi Fブレーキパットセンサー
純正No:7L0 907 637
OEMNo:23360
価格:¥1,980
数量:2
小計:¥3,960

商品名:Zimmermann Rブレーキディスク左右セット
純正No:7L8 615 601 C
OEMNo:600.3229.20
価格:¥22,800
数量:1
小計:¥22,800

商品名:Zimmermann Fブレーキディスク(左)
純正No:7L6 615 301 D
OEMNo:600.3224.20
価格:¥12,400
数量:1
小計:¥12,400

商品名:Zimmermann Fブレーキディスク(右)
純正No:7L6 615 302 N
OEMNo:600.3225.20
価格:¥12,400
数量:1
小計:¥12,400

商品名:Zimmermann Fブレーキパッド
純正No:7L0 698 151 S
OEMNo:23692.165.1
価格:¥16,800
数量:1
小計:¥16,800

商品名:Febi Rブレーキパッド
純正No:7L0 698 451 H
OEMNo:16619
価格:¥7,280
数量:1
小計:¥7,280
———————————————————————
商品合計:¥75,640
消費税:¥6,051
送料:¥650
お支払いの合計:¥82,341

注文は下記の会社から通販で購入し、直接整備工場に配達してもらった。

YELLOW MAGIC
〒130-0022
東京都墨田区江東橋1-10-10
TEL:03-6426-1600  FAX : 03-3846-8552
info@yellow-magic.jp

上記のOEM部品番号の上にある純正部品番号は、ディーラーに車検見積もりを出すとその明細書に明記されているので、それに対応したOEM部品だと分かるようになっている。

ただ、私が購入して装着した、このブレーキ一式の使用感については、あまり満足感がない。理由としては、交換前の純正品と比較して、性能が低下したように感じるからだ。具体的には、制動距離が伸びたように感じる点。ディスクローターは、交換前の純正品は、まだ暫くの間使用出来そうだったと整備工場長から聞いたので、もう少し待てば良かったと思った。この型式のトゥアレグのブレーキキャリパーは有名なメーカーであるブレンボ製なので、ブレーキシステム全体の性能は高く造られている。理由は、車両重量が2.7トン近くあり、メルセデスのSクラスのロングよりも重いから、その分強力なブレーキが必要であること。2つ目の理由としては、320馬力を超える、ハイパワー車であること。スピードメーターは純正で、320キロまでの速度計の目盛り設定となっていることから、ドイツのアウトバーンなどで、300キロ近いスピードからでも、車を制動するブレーキ性能が要求されるためと考えられる。

この3回目の車検のときには、バキュームパイブに亀裂があったため、交換せず、補修のみ施し、延命措置をしていて、それに約3万円かかっている。加えて、運転席エアバッグの配線修理に約1万円。ドレンホースの清掃(これをやらないと雨漏りすることがある)に1万。

以上の整備と部品代で、合計約25万円。残りの10万は税金、保険など。

外車の車検は高額になるから、ディーラーに頼まず、他の民間整備工場に依頼する場合でも、まずは、ディーラーに車を持ち込み、見積もりを出してもらうことをおすすめしたい。なぜなら、ドイツ車は、高性能ゆえに、パーツの寿命が国産車よりも短いため、思いもよらぬときに、部品交換に必要性が生じ、車が立ち往生するケースが多いからである。車は必ずしも、自宅近辺で不具合を起こしてくれるとは限らない。遠出をして、自宅から何百キロも離れていれば、たとえ仮に、搬送車やレッカー車で、自宅近くの整備工場に持ち込めたとしても、旅行中なら、旅行の日程を変更しなくてはならなくなるし、冬季に積雪のあるところであれば、レッカーもすぐに来てくれることを期待出来ない。山奥なら尚更だ。夜間で積雪地帯であれば、翌日にならなければ、路面凍結の状態であれば、車両の移動も出来ないかもしれない。そのようなことを考えると、部品の寿命が走行距離や経年年数によって、あらかじめ想定出来るなら、予防的に修理しておけば、限界が来て、出先で車が故障するよりかは、良いからにほかならない。

私の場合、自宅近くだったから、不幸中の幸いとも云うべきかもしれないが、ウォーターポンプが限界になり、オーバーヒートして、警告灯が点灯してしまい、車両重量が2.7トンで、レッカー車では牽引出来る重量を超えているため、搬送車を呼んだ。しかし、これが人里離れたところだとか、冬季の豪雪地帯の山奥だったら、ある程度自走して、街の近くまで降りてくる必要があったかもしれない。オーバーヒート状態で無理に走行すると、エンジンにダメージが加わるので、そのような事態は回避したいものだ。

このように考えると、ディーラーは、どのくらいの距離を走行すると、そろそろ、どの部品が交換時期に来ているかなどのデータの蓄積があるため、車検費用の見積もりを依頼すれば、車両状況を実際に確認したり、フォルクスワーゲン独自のテスターで不具合をコンピューター診断してくれるので、見積書によって指摘してくれて安心出来る。ディーラーではない整備工場もドイツ車用のテスターはあるが、メルセデスやBMW、AUDIなど他のドイツ車を含めた汎用性のあるものではあるため、特定のメーカーをより詳しく見ることが出来ない。メーカーが持っている膨大なデータベースにつなげるテスターでもないので、その診断性能は、圧倒的にディーラーが持つテスターが優位なのである。

見積もりは無料なので、見積もりが少し高いかなと思ったり、信用出来るOEM部品入手のあてがあるなら、自分で通販パーツを調達して、他のガレージに依頼しても良いのである。

参考までに、お伝えすると、2016年時の車検のタイミングで某フォルクスワーゲンディーラーに車検の見積もりを依頼したところ、合計89万円だった。

内訳は、ブレーキバキューム一式(工賃込み)で10万円(これが損傷しているとブレーキが効かなくなり危険なので、交換するしかないが)。

前述の私が購入したブレーキローターは、前後左右で4万7千円。に対して、ディーラー見積もりは、13万円で、7万3千円高い(ブレーキ制動力の差といったところか?)。私が購入したブレーキパッドは、前後左右で3万5千円。ディーラー見積もりは6万6千円で約倍の金額。合計約14万円の差額。

ディーラーの車検見積もりは、どこの部品を交換する必要性があるかを見るために有効である。

4回目の2018年の車検詳細。総費用32万円。このとき結局、前回合計10万円のブレーキバキュームを、約8万円で、交換した。ここの整備工場は、3回目のところとは違うところで、メルセデスのディーラーで長年整備を担当していた人が独立してはじめた工場。ドイツ車には詳しいようだったので、此処に依頼した。細かいところまで、よく気づく人で大いに助かり、安心して、車を運転出来る。ただ、このときに車両の下回りを点検したときに、エンジン下より、オイル漏れが発見された。漏れている量は、微量とのことで、すぐに直す必要はないとの話ではあった。オイル漏れの箇所は、リアクランクケースのリヤクランクシールが交換時期に来ていて、それを交換する必要性が次回の車検までに、走行距離や、他の兼ね合いであり得るとのことであった。問題は、このリアクランクシール交換のためには、エンジン一式(ラジエター、ウォーターポンプなど補機類も含め)と、トランスミッション一式を外す重整備になるとのこと。相当な手間と時間を要するため、工賃が場合によっては30万以上かかる見込みである。クランクシールのリア(後ろ側)とのことであれば、では、フロントはどうかと整備工場のオーナー(メルセデス整備出身、自家用車はベンスSクラスのロング)に尋ねると、時期が来れば、フロントも同様の状態になり、交換が必要とのこと。

この記事を書いているのは、2020年で、今年の秋車検だ。車庫に停車している私の車、トゥアレグの下にオイル漏れは無いが、エンジン下部は見えないので、詳しい状況は不明。

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